こんにちは。上田哲也 (@English09040) です。
英語の暗記暗唱は、読む書く聴く話すの4技能の全てに効果がある勉強法ではありますが、特にスピーキング力アップに効果的な勉強法です。
・読んだり聴いたりはできるけど、英語が口から出てこない
・いつも同じパターンの英語しか話せない・バリエーションを増やしたい
そんな風に感じているとしたら、ぜひ英語の暗記暗唱を実践してみてください。きっと見える景色が変わるはずです。
ただし、やり方を間違えてしまうと、なかなか英文が覚えられなかったり、間違った発音が身についてしまったりする可能性があるので注意が必要です。
▶︎ 英語の暗記暗唱ってどんな勉強法?
▶︎ 英語の暗記暗唱をする効果は?
▶︎ 英語の暗記暗唱のコツは?
▶︎ 英語の暗記暗唱におすすめの教材は?
この記事では、これらの疑問にお答えしていきます!
目次
英語の暗唱とは
英語の暗唱とは、その名の通り「英文を暗唱する勉強法」のことです。
英文を暗唱することで「知っている英語」を「使える英語」にすることを目指します。
一言一句正確に覚える
英語を暗記暗唱するときは、一言一句正確に暗唱することを目指します。
冠詞や単数複数に至るまで正確に暗唱しないと、間違った知識を定着させることになってしまうからです。
無意識に英語が口から出てくるようにする
英文の暗記暗唱をすると一口に言っても、それはゆっくり考えながら何とか英語が口から出てくるのでは全く練習が足りません。
僕の生徒さんにも英文の暗記暗唱を宿題として出すことがありますが、「無意識に英語が出てくる」レベルで英文の暗記暗唱ができている人はほとんどいません。
英文の暗記暗唱をする目的は、知っているだけの知識を自動化し、何も考えなくても口から出てくるようにすることです。
ですので、もし暗唱した英文を声に出すときに、少しでもつっかえたり、どんな英語だったかを思い出す必要があるとしたら、練習が足りていない証拠です。
英文が無意識に出てくるまでしっかり練習をしましょう!
暗記暗唱をするときに日本語を見るべきか?
英語の暗記暗唱をするときに、日本語訳を見て英語を想起するやり方と、英文をちらっと見て英文全体を発話するやり方があります。
日本語を見て暗記暗唱をする場合、それが「日本語を英語に訳す」ことにならないよう注意してください。
英語を話すプロセスは、イメージを起点にしてそれを英語で描写することです。
ですので、日本語を見てそれを一語ずつ「”彼” は “he” で…」のように訳していくのは、ただの日本語訳の練習になってしまいます。
日本語を見て暗唱をする場合は、あくまで日本語を見てから情景をイメージして、それを英語で描写するプロセスを経るようにしてください。
また、日本語を見なくとも、英語を見てそれをすぐに空で復唱するというやり方もできます。
その場合は、英文の出だしをヒントに英文全体を思い出して、それを一気に発話していくことになります。
いずれにしろ、何かのトリガーを頼りに、覚えている英文を口から出すという練習をしていきます。
英語を暗唱する効果
知っていることを使える英語にする
英語を暗記暗唱すると、知っている英語を使える英語にアップグレードすることができます。
学校の英語学習は、英語を知識として学んで、それをテストで正解できれば大丈夫だったかもしれません。でも現実世界で必要とされている英語は、テストで正解するための英語の知識ではなく、実際の会話で使える英語力です。
実際の会話では、考えながら英語を話している時間はありません。ですから、何も考えずに口から出てくる英語がどれだけあるかが勝負になるのです。
英文の暗記暗唱をすることで、そのような実践の会話で英語を使うために必要な瞬発力を養うことができるのです。
英文の暗記暗唱で雛形を作る
英語を暗記暗唱をすることで、自分の中に英語のストラクチャーをストックすることができます。
英語が話せる人は、英文をイチから組み立ててはいません。
自分の中に既にあるストラクチャーを、臨機応変に組み替えながら英語を話しています。
もちろん、日常的に大量に英語に触れていれば、英文の暗記暗唱をあえてしなくても雛形を自然とストックすることはできます。
ですが、限られた時間で最短で、英語を使えるようになるためには、英語を暗記暗唱することで、自分の中に雛形となるストラクチャーを一気にインプットしてしまうのも効果的なやり方です。
英文を暗唱することで、使える英語が格段に増えます!
英語の暗唱のやり方・コツ
英文を理解する
まずは暗唱する英文を正確に理解しましょう。
もし自力で理解できない英文だとしたら、まだ覚えるにはレベルが高すぎるかもしれません。
そのような場合は、もう少し英語力がアップしてから取り組むか、英語の先生などに質問をして、まずは正確に英文を理解できるように努めましょう。
構造を意識する
次に、英文の構造を把握します。
既に述べたように、英文を暗記暗唱する目的の一つは、英語を話したり書いたりするときのストラクチャーを仕入れることです。
そのためには、その英文のコアとなるストラクチャーに目を向ける必要があります。
そうすることで、そのストラクチャーを保ちつつ、パーツを自由自在に入れ替えられることができるからです。
状況をイメージ
英文を細部に至るまで理解したら、それと同時に情景をイメージしましょう。
英語はただの単語の羅列ではありません。しっかりメッセージを持った言葉ですので、その言葉の持つメッセージを理解します。
そうすることで、英文の暗唱をする際に、ただ単に覚えた英語を復唱するのではなく「イメージを英語で描写する」ように英語を発することができます。
感情を込める
英語の暗記暗唱は、できるだけ感情を込めながらおこなうようにしましょう。
英語は感情と結びついた時に、初めてメッセージを持った言語となります。逆に感情がこもっていない暗記暗唱は、ただ無機質な記号を読み上げているのと変わりありません。
ですので、情景をイメージしたら、しっかりと感情も乗せて暗記暗唱するようにしてみてください。
状況をイメージして、感情を乗せて音読することがポイントです!
部分的に暗唱する
もし暗唱する英文が長すぎる場合は、部分的な暗唱を繰り返して、最終的に全体を暗唱できるようになれば大丈夫です。
まずは意味の区切り (カンマなど) で区切って、部分的にしっかり暗唱ができることを目指しましょう。
一つ目を暗唱できるようになったら二つ目、二つ目ができるようになったら三つ目と、徐々に暗唱できる部分を増やしていきます。
そして最終的にそれらを合わせて暗唱できるようになれば完成です。
音声を使いながら暗唱する
英語の発音がまだ安定しないうちは、音声をしっかり聴きながら暗唱することをお勧めします。
音声無しで暗唱をしてしまうと、間違った発音が定着してしまう可能性があるからです。
ですが、もし既に「文字を見ただけで正確に発音がわかる」あるいは「辞書を引いて発音記号が読める」ということであれば、お手本の音声なしの英文の暗記暗唱をしても大丈夫です。
実戦で使える英語力を鍛えるために何ができるかを考えながら、英語の暗記暗唱をしましょう!
英語の暗唱におすすめの教材
英語の暗唱に使うべき教材は、目的によって異なります。
文法力強化
文法力を強化することを目的に英文の暗記暗唱をするのであれば、同様のストラクチャーが複数並んでいるようなテキストを使うと良いと思います。
代表的なテキストでは「瞬間英作文」がありますが、同じようなコンセプトのテキストは他にもたくさんあるので、例文が気に入るものを是非選んでみてください。
また僕がお勧めする Grammar in Use も、ユニットごとに同じ文法を使った例文がたくさん掲載されていますので、それらの英文を集めれば立派な暗唱用のテキストになります。
【2021年版】Grammar in Use の使い方を徹底解説(効果的な勉強方法・種類と選び方)
【2021年版】Grammar in Use の勉強法を徹底解説(ノートの使い方・音読の方法)
語彙力強化
語彙力をアップするために英語の暗唱をするのであれば、単語帳の例文をそのまま暗唱してしまっても大丈夫です。
ただし、英語の暗記暗唱はとても負荷の高いトレーニングですので、本当に覚えられない単語、あるいは本当に使えるようになりたい単語だけに絞って実践することをお勧めします。
全文を暗唱するのは負荷が高いので、本当に暗唱するべきものに絞って取り組みましょう
スピーチやプレゼンを深く学ぶ
最後に、お気に入りのスピーチやプレゼンなどを深く学ぶための暗記暗唱もあります。
その場合は特にこれといったテキストはありませんので、ご自身の気に入ったスピーチやプレゼン、ドラマのワンシーンなどを暗唱してみると良いと思います。
リプロダクションなどの音読トレーニングを通して学習することでも、十分に高い効果はありますが、さらに突き詰めたいということであれば、ぜひ暗記暗唱にもトライをしてみてください。
【徹底解説】リプロダクションの効果的なやり方(英語のリスニング勉強法)
僕は昔、こちらの有名なスティーブ・ジョブズのスピーチを暗唱したことがあります。
おまけ
最後に僕が語学学習で暗記暗唱に取り組んできて、「あまりうまくいかなかった」あるいは「もっとうまくできたのでは」という経験をシェアしたいと思います。
僕自身これまでたくさんの言語学習においてたくさん文章を暗記暗唱してきましたが、もちろんうまくいかなかったこともたくさんあります。
パターンごとの例文が少なかった
以前「基本例文700選」というテキストを完璧に暗唱したことがありました。
本当にどの和訳を言われても、一切つっかえずに英文が口から出てくる状態に仕上げました。
もちろん役には立ったのですが、全く同じ構文がたくさん並んでいるテキストではなかったので、広く浅くカバーはできたものの、それぞれのストラクチャーが深く身についた感じはしませんでした。
今やるなら、同様の構文をたくさん自分で調べて同時に暗唱すると思います。
暗記暗唱以外の勉強が疎かになっていた
また韓国語を勉強していたときも、英語でいう「瞬間英作文」のようなテキストでたくさんの例文を暗記暗唱していました。
でもそのときは、圧倒的なインプット不足で、それらの例文が意味を持った構文ではなく無機質な記号としか感じられず、うまくいきませんでした。
やはり英文の暗記暗唱をするときにも、たくさんのインプットを同時並行することで、暗唱する英文にどんどんリアルな文脈で出会っていく必要があると思います。
さいごに
ここまで英語の暗記暗唱について解説をしてきました。
これまで僕自身、少なくとも何千もの英文を暗記暗唱してきたことで、確実に無意識レベルで使える英語が増やすことができました。
ぜひ皆さんも、効果的な英文の暗記暗唱にトライしてみてください!