多読とは読んで字のごとく「多く読む」ことによる英語の学習方法です。
日本の学校で英語では、一つの長文をじっくりと読み込むことが、たくさんの英語の本を読んでいく「多読」には馴染みがないかもしれません。
● 多読は効果があるのか?
● 多読はどれくらいの英語力から始めるべきか?
● 多読の効果的なやり方が知りたい
● 多読におすすめのテキストが知りたい
この記事ではこんな疑問にお答えしていきます!
目次
英語の多読はどれくらい読めばよいのか?
多読をする量は、もちろん大いにこしたことはありません。
インターネットで多読について調べていると「●●語が目安です」とも言われたりしますが、あまり気にしなくて大丈夫です。
英語力は多読をすればするほど緩やかに上がっていきますので、「●●語は読まなければ」と意気込んでストレスに感じてしまうより、日々少しずつできるペースで読み進めていきましょう。
多読をやればやった分だけ英語力が上がります
英語の多読の効果
多読で知識を定着させる
多読を通して英語の知識を定着させることができます。
英語学習には、新しい知識を「理解」する段階と、それを「定着」させる段階があります。
読めなかったものを読めるようにするのが「精読」、そして読めるようになったものを無意識レベルで読めるよう定着させるのが「多読」のイメージです。
ほとんどの英語学習者は、英語を勉強しているとしても、この「理解」の段階で止まってしまってしまいます。
確かに英語は読めるようにはなるかもしれませんが、ゆっくり英文解析をしいながら、何度も返り読みをして日本語訳をしなければ読めていない状態です。
ですので、英語を自由に使いこなすためにも、多読を通して英語を「定着」させて、何も考えずともすらすらと英文が読める状態を目指しましょう。
知識が定着していないと、英語はすらすら読めるようになりません
多読で英文の処理速度が上がる
多読を重ねていくことで、英語を速く読めるようになります。
英語はまずは「ゆっくり」読めるようになり、何度も同じパターンに出会ううちに頭で英文を処理するスピードが速くなっていきます。
英語は同じようなパターン(文法や構文など)が幾度となく使われれるので、1回目より2回目、2回目より3回目と出会う回数を重ねるほどに処理するスピードが上がっていくのです。
最初は難しくても、何度も同じ英文に出会えば無意識レベルで理解できるようになります
また「この英文のパターンは前にも見たことがある」となると、その次の展開が予測できて、さらに読むスピードが格段に上がります。
例えば次の例文を見てみてください。
Not only does he know a lot about business, but also he is a great manager.
(彼はビジネスについて知見があるだけでなく、優れたマネージャーでもある)
このような文がであれば、Not only…の出だしを見た瞬間に「次に倒置がくる」ことがわかります。そして、その後に but also… と次の文が始まることがイメージできます。
It is not until I got home that I realized someone broke into the house.
(家に帰るまで、誰かが家に侵入したことに気づかなかった)
またこのような文であれば、It is not until…まで見た時点で「次に時間を表す節がくる」とわかり、文の境目に that が来ることまで想像できるわけです。
ここでは分かりやすい例として、文法のストラクチャーを挙げましたが、これは熟語やコロケーションにおいても同じことが言えます。
知っているからこそ次が予測できて、予測できるからこそ読むスピードが上がっていきます。
英語の多読のやり方
ここからは英語の多読のやり方についてお話しします。
多読は理解できて楽しめるものを読む
多読をうまく進めるコツは、「理解できて楽しめるものを読む」ことです。
人間の脳が言語を学習するのは、その言語のメッセージを理解したときだと言われています。
イメージとしては、1回読んで80%、わからないところは適宜読み返せば95%理解できるくらいのレベル感がちょうどいいかなと思います。
僕の経験上、それくらいの理解度があればストレス無く多読ができます。
また、人間の脳は「楽しくない」と思った情報はシャットアウトし、「楽しい」と思える情報をどんどん取り込む性質があります。
ですので、楽しめるコンテンツを選ぶということも非常に大切です。
今の日本にはたくさんの英語コンテンツがあるので、楽しくないものを無理してやるのではなく、どんどん楽しいコンテンツを探していきましょう。
どのようにして楽しめるコンテンツを探すかについては、後半の「おすすめのテキスト」のところでお話しします。
>>【インプットの質を上げる】質の高い英語のインプットの2つの条件
辞書は引きすぎない
英語の多読において、辞書を引きすぎるのは望ましくないとよく言われます。
ただこれは決して「辞書を引いてはいけない」という訳ではありません。(辞書を引いたら引いたで、新しい表現を覚えるので英語力はアップするので)
ただ「理解できる英語を大量に読み込む」という多読をしているのに、辞書をたくさん引きすぎてしまうとスピードが落ちてしまうため、「多読」をするのであれば辞書は引かない方が良いということです。
ですので多読に使う教材は、辞書はあまり引かなくても十分に理解できるくらいのレベル感のものを選ぶことをお勧めします。
ちなみに、辞書をしっかり引きながら、一文ずつ正確に読み解くことを目的とする勉強は「精読」と呼ばれ、こちらも多読と共にリーディングの勉強法の両輪を成すとても大事な学習となります。
精読と多読はバランス良くやっていくのが大事です
わからなくなったら無理して読み進めない
英語の多読に使っている本が難しいと感じたら、すぐに読むのを止めて大丈夫です。
その本は自分にとってレベルが高すぎたということで諦めて、次のテキストに進んでしまいましょう。
日本には英語の教材は溢れていますから、他にも多読に使える教材はいくらでもあります。ですので是非自分が読みたいと思える1冊を見つけてみて下さい。
同じ本を最初から最後まで読み通したからと言って、英語力がアップする訳ではありません。
英語力が向上するのは、理解できて楽しめるコンテンツをインプットしているときですので、無理して難しい本に固執しないようにしましょう。
無理して読み進めても英語力はアップしません!
英語の多読におすすめのテキスト
ここからは実際に使える多読のテキストをご紹介していきます。
初級~中級
・語彙制限本 (Penguin Readers, Oxford, IBCラダーシリーズなど)
・The Japan Times Alpha
本当に英語を学び始めたばかりという方は、Penguin Readers や Oxford の一番下のレベルから (Easystarts levelなど) からトライしてみるのが良いです。英検3級くらいのレベルの英語で書かれており、挿絵もあってほとんど絵本のような感じになっています。
中級者レベルであれば、もっと上のレベルにトライするのも良いですが、日本語訳つきの洋書を探すのであれば「IBC対訳ライブラリーのシリーズ」がお勧めです。
The Japan Times Alpha は英語学習者向けの英字新聞です。いろいろなレベル感の記事もありますが、適切なレベルの記事を選ぶことで多読の素材としても活用することができます。
上級者
・英字新聞
・洋書/オーディオブック
英語上級者であれば、学習者用に加工されたものでなくてもトライできるはずです。
洋書は中には難しいものもありますが、こちらの本であれば比較的読みやすく、著者本人が読み上げてくれているオーディオブックも手に入るので取り組みやすいはずです。
Atomic Habits
The 5 Second Rule
まとめ
ここまで英語の多読の効果や、その効果的なやり方、またおすすめのテキストについてご紹介してきました。
多読は日々の英語学習に組み込んでいくことで、確実に英語の処理スピードを向上させることができ、初見の英文であっても次の展開を予測しながら読み進めることができるようになります。
多読のテキストは、必ず「理解できて楽しめるもの」を選ぶことだけ、意識しておけば大丈夫です!
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