【徹底検証】Ankiの効果は科学的に裏付けられていなかった!?

公開日:2022.09.22
英語学習ロードマップ

こんにちは。上田哲也 (@English09040) です。

本日は単語学習アプリのAnkiは効果が本当にあるのかというテーマで、お話ししたいと思います。

そもそもAnkiって何?という方は、こちらの動画で詳しく解説していますので、こちらをご参照ください。

【最強の英単語アプリ】Anki の使い方のコツとカードの作り方 (裏表・穴埋めカード)

きっとこのサイトの記事をいつも読んでくださっている方は、僕がいつもAnkiをおすすめしているのをご存知かと思いますが、今回はあえてAnkiに対して批判的な角度からお話しします。

ちなみに今回参照させていただくのは、こちらの論文です。

https://www.kansai-u.ac.jp/fl/publication/pdf_department/19/35nakata.pdf

ちなみに、この論文を読むきっかけになったのがこちらの書籍なのですが、すごく面白い本で、将来的にこの本で学んだ内容を皆さんともシェアさせていただけたらと思います。

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はじめに

結論から言うと、この論文には「Ankiの効果は必ずしも科学的に証明されていないのではないか」という内容が書かれています。

第二言語習得の分野では、日々研究者の方たちが研究を重ねてくださっていていて、僕はそれを書籍や論文を通して学ばせていただいている立場です。

ですので今回は、現時点での僕なりの単語学習に対する考察を、今手元にあるデータを元に皆さんにお伝えできたらと思っています。

難しそうな言葉も出てきますが、できるだけ分かりやすく、実際の英語学習にお役立ていただける形でお伝えしていきます。

Anki の科学的根拠とは

まず、そもそもAnkiはどのような考え方を根拠に作られているのかを説明します。

Ankiは一言で言うと「拡張分散学習」というものに基づいて作られています。

きっと「一体何の話?」という感じだと思うので、ここから分かりやすく話していきます。

集中して学習する vs 分散させて学習する

まず単語学習は、「集中学習」と「分散学習」に分けることができます。

集中学習:復習のインターバルをあけずに、集中的に単語を繰り返し学習すること

分散学習:復習のインターバルをあけて、繰り返し学習すること

きっと皆さんも、テスト前に一夜漬けで集中的に学習するよりも、毎日少しずつでも分散して学習をした方が良いというのは聞いたことがあると思いますが、それは正しい考え方です。

実際に、集中学習よりも分散学習の方が、2倍以上効果が高いということがわかっています。

最適な復習のインターバルとは?

復習の間隔はどうやってあければいいの?

復習の間隔のあけ方には3種類あります。

均等分散学習:均等なインターバルで復習をする(例:2日→2日→2日)

拡張分散学習:インターバルを徐々に長くしながら復習する(例:1日→2日→3日)

縮小分散学習:インターバルを徐々に短くしながら復習する(例:3日→2日→1日)

これまでは多くの研究者の方たちが「拡張型分散学習が最も効果的である」と主張していました。つまり、だんだんと復習のスパンを広げていく学習法です。

これは今でも多くの研究者たちが主張する内容で、AnkiやiKnow!などの多くの英単語アプリは、この拡張分散学習に基づいて設計されています。

ちなみに、その根拠となったのが、「検索練習効果」と「検索努力仮説」と呼ばれるものです。

検索練習効果:正しく思い出せることで記憶が強化される

検索努力仮説:頑張って思い出すことで記憶が強化される

つまり、これらの考え方に基づけば、頑張れば正しく思い出せるギリギリのタイミング(つまり忘れる直前)で復習をする「拡張分散学習」が最も効果的だと考えられるわけです。

Anki は最も優れた学習ツールではない!?

ところが、「拡張分散学習」が “最も優れている” という主張の根拠になっているデータは、必ずしも妥当ではないのではないかという主張があります。つまり「実験のやり方が適切でなかった」という批判があるわけです。

そして実際、近年の第二言語の語彙習得の研究において「拡張分散学習」と「均等分散学習」にそこまでの差は無いということがわかってきました。

また「単語を忘れないうちに思い出すことで、長期記憶が阻害される」と主張する人もいます。

ここで実験の一つをご紹介します。

参加者:37人

学習期間:4週間

学習内容:日本語と英語の単語のペア


◎均等分散学習:1日目→10日目→19日目→28日目 ▶ 83日目 テスト

◎拡張分散学習:1日目→3日目→9日目→28日目 ▶ 83日目 テスト


※それぞれのグループが4回ずつ学習し、83日目のテストで学習効果が測定された。


引用:Kang et al. (2014)

このように、両グループの学習結果が比較されたのですが、こちらの実験では均等分散学習をしたグループも、拡張分散学習をしたグループも、83日目のテストでの正答率はほぼ同じでした。

ただし、学習中の正答率は「拡張分散学習」のグループの方が高かったようです。

ここまでの話の流れを一旦整理します。

まず、「集中学習よりも分散学習の方が良い」というのは間違いないと思われます。

ただ問題は「復習の間隔」です。これまでの主張では「拡張分散学習>均等分散学習」という考えが主流だったわけですが、近年の研究によると「拡張分散学習 ≒ 均等分散学習」ではないかということがわかってきています。

Anki を使って学習するべきなのか?

現在僕の知る研究データを見る限り、実験の条件下では「拡張分散学習」と「均等分散学習」の効果にそこまで差は無いようです。

ですが、実際の学習状況を考えると、やはり個人的には「均等分散学習」より「拡張分散学習」の方が効果的であるように思えます。

理由は次の2つです。

①学習中も単語を覚えていたい

まず均等分散学習では、学習期間中に単語を忘れてしまう可能性が高くなります。これは先ほどご紹介した実験のとおりです。一方で拡張分散学習であれば、忘れる前に復習をするので、学習中も単語を覚えておけます。

僕個人としては、日々英語を使いたくて英語を学んでいて、学習期間中もターゲットの語彙はしっかり記憶に保持しておきたいので、拡張分散学習がより良いなと感じています。

②学習量は適度に抑えておきたい

次に、均等分散学習では、新規単語を継続的に学習する場合、復習の回数に上限を設けない限り、学習量がどんどん増え続けていってしまいます。

一方で、拡張分散学習であれば、復習スパンはどんどん長くなるので、新規単語を継続的に増やしていっても学習量が無限に増え続けることはありません。

ですので、①新規単語を継続的に学習する、②学習した単語をずっと復習し続ける、という条件で学習する場合は、均等分散学習を取り入れるのはやや難しそうです。

こういった理由からも、「覚えたい単語はいくらでもある」「学習した単語はずっと覚えておきたい」という僕としては、拡張分散学習が良いと感じています。

結論:現時点で Anki は最適解のひとつ

いろいろ話してきましたが「現時点ではAnkiは最適解のひとつ」というのが僕の結論です。

もちろん、将来的により良いアプリが出てくる可能性は十分にありますし、皆さんの学習スタイルによってはAnkiではない方が良いこともあるかもしれません。

ですが、今の段階では、拡張分散学習に基づくアプリを使うのはありだと思っています。

Anki は継続的な復習を可能にするツール

また「均等分散学習と拡張分散学習のどちらが良いか」という議論はありますが、単語の復習を継続的に促してくれるという意味でも、Ankiはとても便利なツールだと思っています。

普通の人は単語の復習ができずに、どんどん単語を忘れていってしまうわけですが、Ankiのようなツールを使えば、少なくとも繰り返し復習ができるわけです。

もちろん、完璧なツールではないかもしれませんが、単語学習を100点満点で表すなら、10点とか20点だったものを、80点くらいにAnkiのようなツールは引き上げてくれるのではというのが、僕の考えです。

単語学習は Anki だけで完結しない

また、もう一点大事なこととして、単語学習は決してアプリだけで完結するものではありません。

個人的な感覚としては、アプリで単語を認識できるようになって、その間にたくさんの英語を読んだり聞いたりすることで、アプリで学習した単語に出会い、記憶をどんどん強化していくイメージです。

ですので、ぜひ皆さんもどんな単語の覚え方をされるとしても、単語帳やアプリだけでなく、たくさんの英語を読んだり聞いたりして、単語の知識を深く定着させていただけたらと思います。


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