リプロダクションはうまく活用すれば、リスニングだけでなく、スピーキング力も大幅にアップすることができる勉強法です。
ただその一方で、とても負荷が高い勉強法でもあるため、うまく工夫をしないと挫折をしてしまう原因にもなりますので、この記事ではこれらの学習法の適切な実戦のやり方について解説していきます。
▶︎英語のリプロダクションってどんな勉強方法なの?
▶︎リプロダクションの効果的なやり方が知りたい
▶︎リプロダクションってリスニング向上に効果はあるの?
この記事ではそんな「リプロダクション」に関する疑問にお答えします!
目次
リプロダクションとはどんな勉強方法か?
英語のリスニングの勉強法における「リプロダクション」とは、耳で聞いた英文をそのまま自分の口で再現する勉強法です。
一般的に聞いた音声をそのまま繰り返す勉強方法をまとめて「リピーティング」と呼ぶこともありますが、音声を聞いてテキストを見ないでそれを繰り返すやり方を「リプロダクション(復元・再現)」と呼びます。
リプロダクションのやり方
リプロダクションは、①流れてくる英語の音声を聞いて、②(スクリプトを見ないで)自分自身で全く同じように英文を再現する学習法です。
とてもシンプルなリスニングの勉強法ですが、リプロダクションはとても奥が深いです勉強法です。
ここからはじっくりと、リプロダクションをどのように実践すると効果的なのか、その具体的なイメージをお伝えしていきます。
リプロダクションのコツは「目的」を理解しておこなうことです!
まずは音声を再生する
まず英語の音声を用意したら、それを5~10秒程度再生し、一時停止させます。
秒数はあくまでも目安です。
ある程度まとまった意味の英文で、現実的に記憶できる程度の長さであれば大丈夫です。
●短すぎる例:
One of the… (ひとつの…)
例えば、ここまで短くなってしまうと、リプロダクションをやる意味はほとんどなくなってしまいます。
●ちょうど良い例:
One of the reasons why people should read a newspaper every day is that this helps them to understand what is going on in the world. (人々が新聞を毎日読むべき理由の一つは、それが今世界で何が起きているかを理解するのに役立つからです)
ですので、このように一文まるまるリプロダクションをすることができたらベストです。
●ちょうど良い例:
One of the reasons why people should read a newspaper every day is… (人々が新聞を毎日読むべき理由の一つは…)
でも、少し一文が長いなと感じる場合は、このように意味の切れ目で区切っても大丈夫です。
長すぎる例:One of the reasons why people should read a newspaper every day is that this helps them to understand what is going on in the world. Although some people may prefer watching TV… (人々が新聞を毎日読むべき理由の一つは、それが今世界で何が起きているかを理解するのに役立つからです。中にはテレビを見ることを好む人もいるかもしれませんが…)
ですが、逆にここまで長くなってしまうと、今度はリプロダクションをすることができなくなってしまいます。
ですので、再生する英文の長さは教材の難易度やご自身のレベルに応じて調整しましょう。
ピリオドでなくても、意味の切れ目で区切って大丈夫です。
全く同じように英文を再現する
そして音声を停止したら、スクリプトを見ないですぐに自分の口で「できるだけ同じ英文」を「正確な発音」で再現します。
完全に文を覚えてなくても大丈夫です。
むしろ個々の単語にだけ集中して、一言一句覚えようとするのは現実的ではありませんし、あまり望ましいやり方ではありません。
理想的なプロセスは、一度英文を聞いたらそれが頭のなかで「イメージ」となり、それを再び言語化していくことです。
インプットした英語を「イメージ化」するのがポイントです。
英語を一言一句記号として覚えるのではなく、英語を聞いた時に頭に描かれるイメージと、記憶に残っているキーワードを頼りに英語を再現していきます。
もちろん、いきなり全てを正確に再現できなくても大丈夫です。
リプロダクションを繰り返していくうちに、だんだんと精度が上げていきましょう。
※ちなみにインプットした英文の内容を、自分の言葉で発話するトレーニングを「リテリング」と呼ぶこともあります。
同じ内容を異なる英語で表現できるのも、英語力がついている証です!
リプロダクションの効果
リプロダクションができるようになると、以下の能力が向上します。
というよりも、これらの能力を身につけないと、リプロダクションは成り立たないと言った方が良いかもしれません。
①英語を正確に理解する力
②英語を正確に再現する力
リプロダクションでは長い英文を一時的に記憶する必要があります。
繰り返しになりますが、英単語を無秩序な記号として記憶することは現実的ではないので、実際には聞こえてきた英語を正確に理解して、英文をイメージとして捉えられるリスニング力が必要になります。
また、記憶したイメージを自分で再構成するためには、高い英語の運用能力(スピーキング力)が求められます。
つまり、リプロダクションでリスニングとスピーキングの両方が鍛えられます!
リプロダクションとリピーティングのちがい
冒頭で少しふれましたが、英語を聞いてそれをリピートする学習全般を「リピーティング」と呼ぶことがあります。
ただこの記事ではあえて違いをはっきりさせるために、スクリプトを見ながら発話するものをリピーティング、スクリプトを見ないで発話するものをリプロダクションとしてご紹介しています。
リプロダクションとシャドーイングのちがい
シャドーイングは2、3秒程度遅れて英語の音声についていくため、聞こえてきた英語を間髪入れずにリピートしていく必要があります。
一見負荷が高そうにも見えますが、聞こえた英語をすぐに処理してしまえるので、リテンション(英文の保持)にかかる負担は、リプロダクションと比べてほとんどありません。
一方でリプロダクションには、シャドーイングのようなスピード感こそ求められないものの、ボリュームのある英文を記憶して、それを一気に再構成(リプロダクション)する必要があります。
そのため、リプロダクションではとても大きな負荷がかかります。
記憶する時間が長いため、リプロダクションの負荷は桁違いです…!
リプロダクションは難易度が高い
英語のリスニング力とスピーキング力に直結するリプロダクションではありますが、あらゆる英語学習方法の中でも特に難易度が高いものです。
そのため、リプロダクションに挑戦する多くの人は、途中で挫折をしてしまうこともよくあります。
そんなときは「リプロダクションだけでリプロダクションができるようになる必要はない」ということを意識してみてください。
リプロダクションが難しく感じる時は、次のステップを試してみてください。
英文を精読する
まず、わからない単語や文法を調べましょう。
読んでもわからない英文をリプロダクションすることはできないからです。
また、発音やアクセントについても、自信がないところは必ずチェックするようにしてください。
英文の意味と発音の正確な理解が、リプロダクションの出発点です。
他の音読トレーニングをする
英文を正確に読めるようになったら、次はその英文を音読やリピーティングなど、負荷の低いトレーニングで土台を固めます。
それらの音読トレーニングを通して、だんだんと英文の内容やリズム、構造などを頭に刷り込ませていきます。
ここまでのプロセスを経ることで、リプロダクションは一気にやりやすくなります。
きっと英文をほぼ暗記することになりますが、それで大丈夫です。
まとめ
ここまでリプロダクションのやり方について、詳しくお話しをしてきました。
もしまだ「リプロダクションは難しい」と感じられる場合は、教材のレベルを調整したり、一旦リプロダクションのことは忘れて、普通の音読やリピーティングなど、今の自分でもできるやり方にトライして見てください。
リプロダクションは、リスニング力とスピーキング力をアップさせる効果的な勉強の一つではありますが、これは手段であって目的ではありません。
ですので、ご自身にあったやり方で、英語力アップという目標を達成していきましょう!
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