こんにちは。上田哲也 (@English09040) です。
本日は、英語を習得する仕組み、特にどうやったら英語が話せるようになるのかについて、第二言語習得論の観点からお話したいと思います。
ちなみに、今回はこちらの書籍『外国語学習の科学: 第二言語習得論とは何か』を参考にさせていただいております。
こういった話は難しくなりがちなのですが、この動画ではできるだけ分かりやすく、今日からすぐにでも実践可能な形でお伝えしていきたいと思います。
突然ですが皆さんは、英語がどうやって習得をされるか、その仕組をしっかり意識して学習できていますか?
・話せるようになりたいなら、ひたすら話すべき
・まずは単語、文法、発音を固めるべき
・映画やドラマなどでネイティブの英語を学ぶべき
おそらく、こんなようなことは何となく知っているけれど、実際にその根拠までしっかり分かっている方は少ないのではと思います。
もし皆さんが…
・英語をたくさんアウトプットしているけれど話せない
・単語や文法をやっているけど話せない
・映画やドラマを見ているけれど話せない
そんな風に感じているとしたら、その原因は言語習得の本質を理解していないからかもしれません。
今日この動画では、現在の第二言語習得の研究で分かっていること、あるいは限りなく正しいだろうとされることに基づいてお話します。
目次
はじめに
まず、第二言語習得論の代表的な考え方として、「インプット仮説」と「自動化モデル」というものがあります。
簡単に言えば、このような考え方です。
・インプット仮説:理解可能なインプットをすることで、結果として話せるようになる
・自動化モデル:意識的に学習し、繰り返し練習することで、無意識に話せるようになる
ちなみに、この本によると、多くの研究者はその中間的な立場を取っていると言います。
これは僕自身の経験とも一致しています
僕自身も、インプットもアウトプットも大切で、英語が話せるようになるためにはその両方のアプローチが必要だと感じています。
ここからは、さらにその2つのアプローチについて、僕自身の経験を交えながら、深堀りして解説していきます。
インプット仮説
これはクラシェンという学者が提唱した非常に有名な仮説です。
簡単に言えば「理解可能なインプット」をすることで、言語は無意識的に習得されるという考え方です。
彼の主張の特徴は、インプットを通して言語のメッセージを理解することが言語習得の”唯一の方法”だと言っていることです。
さすがにインプットだけでは無理では??
もしかしたら、そんな風に感じていらっしゃるかたもいるかもしれません。
たしかに、「インプットだけが”唯一の方法”」かどうかについては、議論が分かれるところです。
しかし「インプットが言語習得において必要である」ということについては、異論を挟む研究者はいないと言われています。
ちなみに、このインプット仮説への反論の根拠となるのが、例えば「受容的バイリンガル」と呼ばれる、「言語を理解できるけど話せない人たち」がいることです。
そんな人達いるの?
例えば、僕の周りにも、中国生まれカナダ育ちの友人がいるのですが、彼は基本的に英語を話していて生活をしているので、第一言語である中国語は、聞き取れるけど話せないと言います。
このような事例が、インプットしていても、話す必要性がなければ話せるようにはならない、という主張の根拠となっています。
また、実際に僕自身が、意識的に英文法を学んだり、英文の暗記暗唱をして英語が話せるようになった経験があることからも、「インプットだけで話せる」というのは、やや極端かなとも感じています。
自動化モデル
そして、もう一方の考え方が「自動化モデル」です。
これは、まずはルールを意識的に学んで、それをスラスラ言えるまで繰り返す、つまり「自動化」するという考え方です。
具体的には、英文法を学んで英作文の練習をするとか、例文の暗唱することが、この自動化に当たります。
最初はゆっくりでしかできくても、練習を重ねていくうちにスラスラ言えるようになる、という考え方ですね。
これは良く聞く勉強法
これは僕が知る限り、日本の英語教育界隈ではかなりメジャーな考え方かなと思います。
ただし、これにも問題があります。
それは英語は全てを”ルール化”できないということです。
つまり、英文法のルールをどれだけ学んだとしても、それだけでは自然な英語にはならないということです。
文法的に正しくてもダメなの?
みなさんも一度は、文法通り作ったけど不自然な英語になってしまったり、相手に伝わらない英語になってしまったりした経験があるのではないでしょうか。
だからこそ、大量のインプットを通して、何が自然で何が不自然なのかを見極める感覚を磨いていく必要があります。
中間のアプローチ
ということで、ここまで第二言語習得論の代表的な2つの考え方、「インプット仮説」と「自動化モデル」についてお話してきました。
しかし、やはり現在多くの研究者がその中間の立場をとっているように、僕としてもこの両方の考え方をうまく取り入れていくべきだと思っています。
結局インプットもアウトプットも全部やらなきゃダメなのか
今日僕が参考にさせていただいている本の著者の方は『英語教師のための第二言語習得論入門』という本で、インプットをベースに学び、少量のアウトプットをすることを勧めています。
これは実は、僕自身の経験ともすごく合致するものです
個人的に英語学習をして1年くらいで、それなりに英語を話せるようになった経験があるのですが、当時の学習を振り返っても「英語を話す」ことにあまり比重を置いていませんでした。
実際には理解可能なインプットが学習のほとんどで、実際に英語を話すのは週に1回アメリカ人の方と話すときと、独りで英語をしゃべるくらいでした。(この独り言も当時はそこまでインテンシブにはやっていませんでした)
ですので、アウトプットの割合は少なくても、英語は話せるようになる可能性は十分にあると言えるかと思います。
じゃあ何をやればいいの?
きっとここまで聞いてこんな風に感じているかと思いますので、ここからは具体的なアクションプランを提示していきたいと思います。
まずは、言語学習の習得のベースとなる「理解できるインプット」を最大化することを心がけて下さい。
この”理解できる”というのがポイントなのですが、そのような質の高いインプットをするための工夫はいくつかあります。
・同じものに繰り返し取り組む
・興味のあるもの、背景知識のあるもの(ラダーシリーズ日本昔話)
・言語外の情報があるもの(動画コンテンツ)
そして、アウトプットの機会を作ります。
一番やりやすいのは、オンライン英会話です。
DMMだったら毎日できますし、Camblyなどであれば週1回とかでも大丈夫なのでおすすめです。
そして、英語特有の表現やストラクチャーについては、例文の暗記暗唱などのトレーニングを通して自動化をします。
このように「インプット仮説」と「自動化モデル」の両方の考え方をうまく取り入れながら、スピーキング力を伸ばしていって下さい。
まとめ
とうことで今回は、第二言語習得論に基づく、英語が話せるようになるための学習法についてお話しました。
言語習得において、インプットが不可欠です。ですので、まずは質の良いインプットを最大化していくことを、英語学習のベースにしていきましょう。
そして、大人になってから第二言語を習得するには、子供が母国語を習得をする場合とは違い、自動化のプロセスが有効になります。ですので、オンライン英会話などを通して、しっかりアウトプットの機会を作るようにしましょう。
メッセージ
いろいろな英語学習法が書店やネット上にある中、どんな風に英語を勉強すればいいのか迷ってしまうこともあるかと思いますが、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
これは僕自身にも言えることなのですが、英語学習のサポートをしているとどうしても、自分の経験則だけに基づいた学習法を提示してしまいがちなのです。
ですが、このサイトを見てくださっている皆さんには、出来る限り客観的な根拠のある情報をお届けしたいと思っているので、これからも僕自身しっかり勉強して、どうやったら効果的に言語習得ができるかについて、皆さんに発信していきたいと思っています。