みなさんは「日本人は世界的に見て英語が苦手」だと聞いたことはありませんか?
実際に日本人の英語力は世界的に見て100カ国中55位と、極めて低いのが現状です。(2020年版「EF EPI 英語能力指数」参照)
ではなぜ、こんなにも日本人の英語力は低いのでしょうか?
文法ばかりやる学校英語せい?
日本人はシャイな国民だから?
僕はどれも違うと思っています。
大人になってから第二言語を習得するためには文法は必須です。
シャイでも英語がうまい人はいくらでもいます。
もちろん、英語を流暢に話せるようには「単語」も「文法」も勉強して「オンライン英会話」も毎日やってほしいのも本音です。
でも今回は、それらと同じくらい重要な、今日からすぐにでも英語のスピーキング力が上がるコツをお伝えします。
基本的に英語学習において即効性のあることはほとんどありません。でも、この記事の内容を最後まで読んで実践できたら、必ず英語が口から出てくるようになるはずです。
今回は今すぐに実践できる3ステップを実例を交えながら詳細に解説していきます。
結論から言うと、日本人が英語が話せない理由は「英語にしにくい日本語で考えているから」です。
まず大前提として、僕たちの日本語レベルは、英語のレベルよりもはるかに高いです。
それなのに日本語ネイティブである僕らが、本気の日本語で作り出した文章を英訳しようとするから英語が話せなくなってしまうのです。
いくつか例を見てみましょう。
プロジェクトの雲行きが怪しくなってきたため、早急に何かしらの手を打たないといけない。
昨日立ち寄った書店で買った本だけど、思ったより面白くなくて読むのをやめてしまった。
レジ袋の有料化に伴い、プラスチックごみが減少した。
どうでしょうか?きっと皆さんであれば、これくらいの日本語であれば普段から普通に話していると思います。
では、これをすぐに英語にできますか?5秒差し上げるので、少し考えてみてください。
5…4…3…2…1…
いかがでしたでしょうか?
「雲行きが怪しい」「思ったより面白くない」「レジ袋の有料化」などの表現に引っかかって、思うように英語が出てこなかった人が多いのではないでしょうか?
もしそうだとしたら、これからご紹介する3ステップをしっかり読んでいただき、一つずつ実践してみてください。
きっとこの記事を読み終わる頃には、確実に英語がスムーズに出てくるようになっているはずです!
目次
①簡単な言葉に置き換える
まず最初にやるべきは「簡単な言葉に置き換える」ということです。
先ほどの例文をもう一度見てみましょう。
プロジェクトの雲行きが怪しくなってきたため、早急に何かしらの手を打たないといけない。
普段何気なく使っている日本語かもしれませんが、よく見ると難しいフレーズがいくつかありますよね。
これは僕の講座を受けてくださっている方には繰り返しお伝えしていることですが、英語を話すときのポイントは、小学生にでも分かるような日本語で発想することです。
「雲行きが怪しいって何?」
「手を打つってどういうこと?」
「早急にって?」
こんな風に小学生から聞かれたらみなさんなら何と答えますか?
先ほどの日本語の文を、もう少し簡単な日本語に変換してみましょう。
このプロジェクトの雲行きが怪しくなってきた。早急に何かしらの手を打たないといけない。
僕だったらこの内容を小学生に伝えるなら、こんな日本語にします。
このプロジェクトはうまくいっていない。私たちはできるだけ早くこれに対して何かをする必要がある。
ここまできたらもう英語にできそうですよね?
This project is not going well. We have to do something about it as soon as possible.
いかがでしょうか?最初はすごく難しそうな日本語も、ちょっと発想を変えるだけで一気に英語で表現できるようになりましたよね。
一見難しそうな日本語も、噛み砕いた日本語にしてから英訳すれば何てことありません。
雲行きが怪しい = not going well
手を打つ = do something about it
早急に = as soon as possible
もちろん、もう少し慣れてきたら、It doesn’t look like を加えてみたり、受動態にしてアレンジしてみても良いかもしれません!
It doesn’t look like this project is going well. Something should be done about it as soon as possible.
ポイントはとにかく、子供にでもわかるくらい「簡単な日本語で発想する」ということです。
僕たちの英語力は、ネイティブからしたら子供レベルです。ですから、大人の目線で作った日本語を英語にできないのは当たり前なのです。
よく中学英語で英語は話せると言われていますが、そのためには発想するレベルを子供の目線まで下げる必要があります。
何気ない言葉であっても意外と難しいもの。まずは日本語を小学生にでも分かるくらいの言葉に変換する。
②文章を短くする
次に日本語をとことん短くしていきます。
英語が話せない理由は「難しい言葉」を使っているからだけではありません。
シンプルな言葉だけの文であっても、長すぎる英文を作ろうとすると、英語が話せなくなってしまったり、せっかく頑張っても相手に伝わらないことがあります。
先ほどの例文を改めて見てみましょう。
昨日立ち寄った書店で買った本だけど、思ったより面白くなくて読むのをやめてしまった。
言葉自体は簡単なのですが、英語にするには少し長過ぎるかもしれません。
ですので、ちょっと大袈裟なくらいに短く分解してみましょう。
昨日私は書店に行った。そこで私は本を見つけた。その本は面白そうだった。私はその本を読んだが、それは面白くなかった。私はその本を読むのをやめた。
内容はほとんど変わりませんが、一つひとつの文がかなりスッキリしましたよね。
英語を話すときは、まずこれくらいの情報量に切り分けて考えるようにしましょう。
そうすると、こんな風な英語ができあがります。
I went to a book store yesterday. I found a book there. The book looked interesting. I started reading the book, but it was not interesting. So I stopped reading it.
最初はこのような細切れの文章でも大丈夫ですので、しっかりとメッセージを伝えることにフォーカスしていきましょう。
そして段々と英語力がついてきたら、文章を長くしていけば大丈夫です。
I went to a book store yesterday where I bought a book. I started reading the book but I soon stopped reading it, as it was not as interesting as I had thought.
例えば先ほどの文も、関係副詞の where や 接続詞の as、また比較表現なども織り交ぜることで、このような文になります。
このレベルの英文が作れるようになったら、もう十分上級者レベルです。
長すぎる文はとことん短く区切ってから英訳する。
③「誰が何をするのか」を明確にする
最後に「誰が何をするのか」をはっきりさせていきます。
日本語というのは主語を省略する言語ですが、英語は必ず主語をはっきりさせます。
ですので、英語に訳す前の日本語もSVをはっきりさせておく必要があります。
みなさん、いつか習った5文型を覚えていますか?SV, SVC, SVO…というやつです。きっと5文型なんて良くわからなかったという方がほとんどかと思いますが、あの5文型で一番大事なことは全て「SVで始まっている」つまり英語は「誰が何する」をベースに成り立つ言語だということです。
もう一度最初にお見せした例文を見てみましょう。
レジ袋の有料化に伴い、プラスチックごみが減少した。
この文が英訳しにくい原因は、もちろん「有料化」や「伴い」のような英語にしにくい単語があることもありますが、それ以上に「誰が何をするのか」が分かりにくいことです。
そこで、こんな風に日本語を書き換えてみましょう。
私たちはレジ袋にお金を払わないといけない。そのため、私たちはプラスチックをあまり無駄にしなくなった。
こうすることで、かなり英語にしやすくなったはずです。
レジ袋 = plastic bags
〜にお金を払う = pay for
〜を無駄にする = waste
5秒差し上げるので、みなさんも是非英訳にトライしてみてください!
We now have to pay for plastic bags, so we waste less plastic.
どうでしょうか?最初想像していたより、ずっと簡単な英語になったかと思います。
「誰が何をするのか」を考えるときは、このように人を主語にしても良いですし、もし慣れてきたら、物を主語にしても大丈夫です。
Plastic bags are no longer free, so the amount of plastic waste is decreasing.
こちらの英文では no longer (もはや〜ない) や the amount of (〜の量) というやや難易度の高いフレーズが入っていますが、英語に慣れてきたら徐々にこのように英文をレベルアップさせていくことができます。
日本語は主語を省略する言語。英語にするために「誰が何をするのか」をはっきりさせる。
さいごに
はい、ということでここまで日本人が英語を話せない『たった一つの理由』と英語を話すための具体的な3ステップについてお話ししてきました。
日本人が英語を話せない大きな原因は「難しい日本語」で考えて、それを英語にしようとしているからです。
ですので、英語が話せるようになるためには、次の3つのステップを踏む必要があります。
①簡単な言葉に置き換える
②文章を短くする
③「誰が何をするのか」を明確にする
プロジェクトの雲行きが怪しくなってきたため、早急に何かしらの手を打たないといけない。
昨日立ち寄った書店で買った本だけど、思ったより面白くなくて読むのをやめてしまった。
レジ袋の有料化に伴い、プラスチックごみが減少した。
いかがでしょうか?今ならこれらの難しい日本語も、英語で表現できそうではないですか?
これらのことを踏まえた上で、日々の単語や文法の学習はどうやっていくべきなのか、オンライン英会話はどうやって活用するべきなのか、などについては別の記事で詳細に解説しているので、併せてご参照ください。
>>【英語のスピーキング勉強法】独学で英語の話す力を鍛えるためのトレーニング8選
>>オンライン英会話の効果的な使い方【TOEIC満点・英検1級が語る】
もちろん、日本語から英語に訳すというプロセスは段々と少なくしていくのが理想的です。
それでも、やはり最初はどうしても日本語をヒントに英語を作らなければいけませんし、上級者でも英語が出てこないときはあります。
ですので、そんなときは、今日の3ステップを参考に「英語にしやすい日本語」で考えることにトライしてみてください。
おまけ
日本語を話す人にとって、英語は最もかけ離れた言語の一つです。
一方で、ヨーロッパの言語(ドイツ語やフランス語など)は英語ととても近い言語です。
ですので、よく日本人が諸外国と比べて英語が下手だと言われますが、それは英語と私たちの母国語との距離感を考えれば当たり前のことです。
例えばオランダ人と日本人が、同時に英語学習を始めたら、当然オランダ人の方が速く上達するわけですが、それは50m走とフルマラソンでタイムを競うようなものなので、それらを比べることにあまり意味はありません。
あまり周りを気にしすぎることなく、自分のペースで確実に一歩ずつ歩みを進めていきましょう!