こんにちは。上田哲也 (@English09040) です。
本日は、科学的な根拠に基づいて…シャドーイングがなぜすごいのか、そしてどうやったらより効果的にシャドーイングで英語力をアップできるのかについてお伝えしていきます。
・シャドーイングが良いとは聞くけどなぜ良いかわからない
・何となくシャドーイングをやってしまっている
・ネイティブの速い英語が聞き取れない
・読み書きはなんとかなるけど英語を話すことは苦手
みなさんはこれまで、こんな風に感じたことはありませんか?
シャドーイングは正しく実践すればリスニング力もスピーキング力も向上させることができるトレーニングですが、見様見真似でやっているだけでは効果は半減してしまいます。
おそらく、シャドーイングを何となくやっている人は多くても、どうやったら効果が最大化出来るのか、またその科学的な根拠をしっかり意識した上で取り組めている人というのは、ごく少数じゃないかと思っています。
ちなみに、これからお話する内容は、主にこちらの書籍を参考にさせていただいています。
僕自身、こちらの本に紹介されているようなやり方で、英語学習を始めた当初からシャドーイングに取り組んでいたのですが、そのおかげもあって今では英検1級、TOEIC満点などを取得することができました。
ですので、ぜひ皆さんもこれからご紹介するやり方を実践して、リスニング力だけでなくスピーキング力もアップさせていただけたらと思います。
目次
シャドーイングとは
そもそもシャドーイングとは何について、かんたんに説明すると…
英語の音声に続いて影のように追いかけてそれを発話するトレーニングのことです。
最初はスクリプトを見ながらも練習をしますが、最終的にはスクリプト無しのシャドーイングができることを目標とします。
シャドーイングが効果的である理由
①英語の音をキャッチする力を鍛えられる
シャドーイングでは、音声を正確にキャッチする力を鍛えることができます。
リスニングのプロセスは大きく「音声知覚」と「意味理解」に分けられます。つまり、音声を正確にキャッチして、その意味を理解するということです。
①音声知覚
②意味理解
シャドーイングをすることで、この「音声知覚」を鍛えることができます。
英語をただ聞いているだけだと、聞こえた単語や文脈から推測して、何となく聞こえた気持ちになってしまいがちですが、シャドーイングではそうはいきません。シャドーイングでは、聞こえてきた音を正確に反復する必要がありますので、文字通り一言一句聞き取る必要があるわけです。
このプロセスを何度も繰り返すことにより、より正確な「音声知覚」を鍛えることができます。
②スピーキングの流暢性がアップする
まず前提として、スピーキングには3つのプロセスがあります。
概念化→言語化→調音
・概念化は、何を話そうか考えること。
・言語化は、それをどうやって英語で表現するか考えること。
・調音は、それをどんな音にするかということです。
シャドーイングでは、このうちの言語化と調音のトレーニングすることができます。
話す内容が与えられているので、スピーキングと全く一緒ではありませんが、限りなくスピーキングに近い練習ができるということです。
オンライン英会話はハードルが高いなと感じる方には、シャドーイングがおすすめです!
ここからは、なぜシャドーイングがスピーキング力アップに繋がるかについて、より詳しく解説していきます。
シャドーイングでは、とにかく大量の英語を音声に続いて発話します。このように、英語を何度も繰り返し練習することで、英語が無意識に口から出てくるようになります。
感覚記憶→短期記憶→長期記憶
人間の記憶には、この3つの段階があると言われているのですが、シャドーイングを何度も繰り返すことで、短期記憶が長期記憶へと変化するのです。
これは以前の動画でもお話した「自動化」とも共通する考え方です。第二言語習得論に基づく英語学習法についてのこちらの記事もぜひご覧ください。
【第二言語習得論】英語が話せるようになる最強の勉強法
また、ここで大事なのが、このプロセスを通して、英語を話すための「ストラクチャー」が身につくということです。
英語は、単語を文法のルールに則ってひとつひとつ並べていく話し方と、ある程度大きなチャンクを組み合わせる話し方があります。
※ It is not always the case…(いつもそういう訳ではありません)や If you don’t mind…(もしよろしければ)などがチャンクにあたります。
そして、英語を流暢に話すには、一つひとつ単語を組み立てるより、このようなチャンクを組み合わせた方が、圧倒的に流暢に話せますし、頭のリソースも節約することができるわけです。
まとめると、シャドーイングを通して、繰り返し練習をすることで情報が長期記憶へと転送されます。そして、英語の型をたくさんストックすることで、スピーキングにおける流暢性も高まるということになります。
シャドーイングの手順
ここからは、シャドーイングの具体的な手順について解説していきます。
今回参考にしている書籍にも書いてあるのですが、シャドーイングの手順にはいろいろなバリエーションがあります。
ここでは僕が個人的に実践して、効果を実感しているものについてご紹介します!
ぜひ皆さんもシャドーイングを実践しながら、ご自身に合ったやり方を探してみてください。
①まずはスクリプトを読み込む
まずはしっかりスクリプトを確認しましょう。
その際には音声も一緒に聞きながら、適宜音声を停止して丁寧に読み込んでいきます。知らない単語に出会ったら辞書を引いて意味を確認したり、思っていたのと発音が違うなと思ったら発音記号を確認してみてください。
②音声を聞きながら音読する
次にスクリプトを見ながら、音声を真似て音読していきます。この時、できるだけこまめに音声を止めて、発音を確認するようにしてください。
人間は聞いた音を保持できる時間は非常に短いので、あまり長く音声を再生してしまうと、正確にリピートできなくなってしまいます。
取り組む素材にもよりますが、個人的には2~3秒くらいがおすすめです
もちろん慣れてきたら、ある程度長く再生しても良いのですが、特に発音に注意したい箇所などは、できるだけこまめに停止して真似ることをおすすめします。
③シャドーイングをする
最後にシャドーイングをします。音声を正確に再現しながら、意味も同時にしっかり理解するようにしましょう。
人によっては、音声だけに注意を向けるシャドーイングをしたりすることもあるのですが、ここまでの下準備をしっかりしてきた人であれば、音声と意味その両方に意識を向けてシャドーイングが実践できるはずです。
もし音声と意味の両方がしっかり処理できないということであれば、できない部分だけでも大丈夫ですので、スクリプトの読み込みや、音読に戻って練習を重ねてから、またシャドーイングにトライしてみてください。
まとめ
ということで、本日は科学的な根拠に基づいたシャドーイングのやり方について、お話をしてきました。
まずシャドーイングの効果としては、リスニング力とスピーキング力の向上があります。
一言一句正確にリピートするシャドーイングでは、音声知覚と意味理解のうち、特に音声知覚の力を鍛えることができます。
またシャドーイングでは、スピーキングのプロセスである①概念化②言語化③調音のうち、言語化と調音の部分をトレーニングできます。
何度も何度も繰り返し練習することで、情報が長期記憶へと転送され、無意識に英語が話せるようになるわけです。
特にシャドーイングを通して英語のストラクチャーをストックすることで、より流暢に発話できるようになります。
シャドーイングの手順としては、まず①スクリプトを読み込み、②音声を聞きながらていねいに音読をし、③最後にシャドーイングを実践していく流れがオススメです。
シャドーイングがまだ難しいと感じるようであれば、スクリプトを読み込んだり音読をしたりするプロセスに戻り、下準備により入念に取り組んでみてください。
本当はもっとご紹介したいデータや考察があるのですが、今回はできるだけ分かりやすく、かつ実践可能な形でお伝えすることにフォーカスしてお話してきました。もっと具体的な実験やデータにも興味が有るという方は、ぜひこちらの本も読んでみてください。
おまけ:シャドーイングにおすすめの教材
最後に、シャドーイングにオススメの素材をご紹介したいと思います。
基本的には、ある程度容易に理解できる素材を使うのがおすすめです。
その上で、自分の興味関心のある分野のNetflixのドキュメンタリーや、自分と年齢や趣味の似ている海外のTouTuberの動画を使用してみると良いです。
特に以前ご紹介したLanguage Reactorという機能を使うと、日英字幕を同時に表示できるだけでなく、一時停止や再生、再生速度の変更だけでなく、一つ前のセリフに戻ったりすることも、キーボード一つで操作可能になります。
Language Reactor の具体的な使い方については、こちらの記事で詳しく説明しておりますので、ぜひそちらもご覧ください。
【Netflixで字幕を同時表示】Language Reactor (旧 Language Learning with Netflix) の使い方
メッセージ
シャドーイングは僕自身、英語学習を始めた頃から今に至るまでずっとやってきた勉強法で、皆さんに自身を持ってオススメできる勉強法の一つでもあります。
ぜひこの動画でご紹介したやり方を参考にして、シャドーイングを日々の学習に取り入れ、皆さんのリスニング力、そしてスピーキング力をアップさせてください!