「英語は努力なしに上達することはない」
当たり前のことではありますが、これに気づく人は驚くほどに少ないです。もちろんこんなの当たり前だよと、わかっている人がほとんどなのでしょう。でも、心のどこかで、「努力しないで英語が伸びる」ことを期待していたなんて経験はありませんか?
私も、かつて高校時代、大学の初めまでは、そんな夢物語に憧れていました。英語のシャワーを浴びれば英語がうまくなるとか、映画を字幕無しで見続ければ聞き取れるようになるとか、そんな幻想です。
ところが、多くの人が既に気づいているように、英語の世界はさすがにそこまで甘くないようです。
努力しなければうまくならない。全く同じことはスポーツの世界においても言えます。英語に努力が必要だという理屈は、野球の練習をしないでプロ野球選手になれないのと同じことです。
ところが、こと英語になると、この常識が一気に崩れます。スポーツなどの分野では「努力をしないと成功しない」という当たり前のことをみんなが認識しているのに、です。実際に英語の商業的な広告を見てみればわかりますが、「通えば」うまくなる、「買えば」うまくなるのオンパレードです。
ただ、少し考えてみればわかるように、野球部に入っただけでは、グローブを買っただけでは野球はうまくなりません。英語も同じです。
私たちが勘違いを続ける理由
私たちが、英語だったら努力しないでも習得できるかもしれないと思う理由。おそらくそれは、私たちが何の苦労もなく日本語を習得したからかもしれません。
確かに、私たちは今のように流暢に日本語を話せるようになるために、何もこれと言った努力はしてきませんでした。普通に生まれて、普通に育ったら、それで日本語がしゃべれていたんです。
だから、何も努力しないで、英語だって努力しなくていいと思ってしまうのも無理はありません。私も昔はそう思っていたタイプなので、その気持ちはよくわかります。
でも認識しておかなくてはいけないのは、私たちの脳は、もう赤ちゃんのような脳ではないということなのです。おそらくほとんどの人が感覚的には認識しているはずです。大人は赤ちゃんのようには言語を習得できません。
そしてそれは実際に科学的にも証明されていてることでもあります。そして私が知る限り、大人になっても子供と同じ理屈で英語を話せるようになると主張する科学者はいません。基本的に二十歳にもなると、人は新しい言語を子どもと同じようには習得できなくなると言われているのです。
つまり、もう私たちは赤ちゃんの頃のようには英語は習得できないのです。ここの大前提を無視してしまうと、根本的に全てのことが狂います。赤ちゃんの頃のようには語学は習得できない。だからそれとは違うやり方を模索しなければならないのです。
カナダに移り住んだ親子の例
例えば、私の知り合いで韓国からカナダに移り住んだ夫婦がいます。彼らがカナダに行ったのは、すでに結婚した後、言語形成期を完全に過ぎてからでした。その夫婦はカナダで子供を産み、今そのお子さんは20歳近くにはなってるはずです。
その夫婦は、カナダに移住してしばらくして子供を生んだので、一応その夫婦の方がそのお子さんよりも長く英語圏で生活しているわけです。しかし、彼らの英語は正直あまりきれいな英語ではありません。普通のブロークンで、正直1年も国内でしっかり勉強した人なら追いつけてしまうくらいの英語でした。
しかし、その一方で、その子供が話す英語はというと完璧なネイティブの英語。しかも大量の分厚い小説を、数日でさらりと読んでしまうほどの読解力も兼ね備えています。
ここに、大人と子供の圧倒的な言語に対する柔軟性の差が見て取れます。
努力する事でしたか英語は習得できない
もはや子供では無い以上、英語は放っておいてもうまくはなりません。子供は何も考えずに言語を自分のものにすることができるますが、私たち大人はそうはいきません。子供が無意識にやっていることを、「意識」して勉強しなければならないのです。
そして、英語をある程度高度なレベルで習得しようと思ったら、おそらく想像している以上の努力が必要です。勉強時間はもちろん、個々の目標に応じて調整すれば問題ありません。しかし、もし「必要な時間」をしっかり英語に当てられていないという自覚があるのなら、是非今この瞬間からでも、自分の時間の使い方を見直してみてください。
どんなに忙しかろうとも、1日1時間は絶対に勉強時間はとれるものです。通勤時間やお風呂の間だけでも勉強時間に当てることができれば、割と1時間という時間は容易に作れてしまいます。
ホームで電車を待っているとき、パソコンの起動を待っているとき、お湯が沸くのを待っているとき、何をしているか考えてみてください。その間、携帯をいじっているか、それともその時間でいかに勉強するかを意識しているかで差が出てきます。洗濯物をたたむときや、食器を洗うときだって、リスニングの時間にもってこいです。
詳しいスキマ時間の活用についてはこちらのページで詳しく解説しているので割愛しますが、大人になった今から英語を勉強しようと思ったら、それくらい努力をしなければならないんだということを覚えておいてください。
英語を少しだけ話したいと思っているのなら、ものすごい努力が必要です。そして、英語をそれ以上に上達させたいと思っているのなら、その努力を継続する必要があります。
もちろん趣味の範囲で英語をするのであれば、それはそれでアリです。ただ、本気で英語をやらなければならない、あるいはやりたいのであれば、それ相応の覚悟が必要だと思います。