英語のディクテーション(やり方・効果)

 ディクテーションは、最も過酷なリスニングのトレーニングでありながら、非常に効果的なリスニングの学習法の一つです。

 たしかに、ディクテーションは決してラクではありません。しかし、そんなディクテーションだからこそ、それをやる価値は十分にあります。

 

 ディクテーションとは、聞こえてくる英文を、ひたすら紙に書き出していく勉強法です。言ってしまえばそれまでですが、実際にディクテーションをやるにあたって、もう一段階ディクテーションを深く捉える必要があります。


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 ディクテーションとは「聞こえてくる英文を、紙に書き出す勉強法」だとは言いましたが、より正確に描写するのなら、「聞こえた英文を理解し、頭の中でイメージ化させ、それを頭に残る単語やフレーズを元に、紙に書き出す勉強法」と表現するべきです。

 

ディクテーションのやり方

 

 既に説明した通り、ディクテーションとは、単に聞こえてくる英文を書き出す作業ではありません。

 ここでは、どのようにしたらディクテーションの効果を最大限発揮できるかにフォーカスしていきます。

 

①英文を聞く(1)

 まずは英文を通しで聞きます。

 この時、ディクテーションの教材を、通しで繰り返し聞いてしまって構いません。ここでは、英文を何回も聞いて理解して、自分の頭の中で読み上げられる音声を「イメージ化」することに集中してください。

 

②英文を聞く(2)

 ここからがディクテーションの本番です。

 まず、自分が聞き取れる程度の長さの英文を再生しましょう。

 この時、英文が長過ぎても短過ぎても練習になりません。教材の難易度、自分自身の英語のレベルを考えながら、適切な長さで再生するようにしてください。

 

 ここで注意すべきは、単語をぶつ切りに聞き取って、それを紙に書き出してはいけないということです。必ず英文の塊で意味を捉え、それを書き出すようにしましょう。

 例えば、”I go to school.”という英文があって、それを「I」「go」「to 」「school」とバラバラに書き取ってはいけないということです。これは1文でひとつの意味の塊になりますから、”I go to school.”と全文まとめて聞き取って、まとめて書き出すべきです。

 

 もちろんこれを、初めて聞く英文でするのは至難の業かもしれません。だからこそ、①のスッテプで英文を通して聞いておく必要があります。しっかりと①で準備をして、②でまとめて意味を理解できるよう準備をしておいてください。

 

③書き出す

 さて、ここまでで聞き取った英文を紙に書き出していきます。

 ディクテーションとは、頭の中に残った英文の「イメージ」を思い起こし、聞こえてきた単語やそのリズムを頼りに、それらの断片的なピースを組み立てていく作業です。


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 普通のリスニングだけでは聞き取るだけで良しとされるところを、その英文の内容を記憶し、覚えた要素を再構築し、書き出すわけですから、トレーニングの負担は一気に跳ね上がります。

 それがディクテーションの一番きついところであり、最も勉強になるところなのです。

 

 ちなみに、このときスペルには気を遣う必要はありません。ディクテーションの目的は、発音から正確なスペルを推測することではないからです。

 

ディクテーションの目的・効果

 

 ディクテーションの目的は以下の3に分けられます。

 

 

①リテンション能力の向上

 リテンション能力とは、「英文を保持する能力」のことです。

 

 聞いた英文を保持するという作業は、思っているよりも難易度の高いことです。

 リテンションをするためには、英文を聞いたときに、その音声を完璧に聞き取るだけでなく、文法や語彙に関しても完全に理解している必要があるからです。


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 英文を「保持」するということは、聞いた英文をただ無味乾燥に「丸暗記」する作業とは全く違います。

 文法や語彙を完璧に理解している場合、純粋な記憶力だけを頼りに英文を覚える必要はありません。

 英文を正確に聞き取れる力のある人は、英文を聞いた瞬間に、それが頭の中でイメージ化されます。それこそ、頭の中に写真を残すような感覚です。そのため、ある程度曖昧に英文を覚えていたとしても、その曖昧な部分は文法のパターンや語彙を推測しながら補う事ができるのです。

 つまり、内容を正確に聞き取ってさえいれば、その記憶したストーリーに沿って英文を構築すれば良いだけなので、純粋な記憶力だけに頼ることはなくなるのです。


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②英文解析力の向上

 これと同じような理屈で、ディクテーションにおいては、完全に聞き取れないところがあっても、前後の単語や文脈から推測しながら書き取ることが求められます。

 英語を聞くという作業は何も、常に全ての音声を一言一句確実に聞き取らなければならないものではありません。むしろ聞き取れないところが多少残るのが普通です。

 

 日本語で考えてみてもわかるとは思いますが、例えば、周りがすごくうるさい所で会話をしていようが、あなたは何とか相手の言っていることを理解できるはずです。

 それはあなたが、日本語に対して非常に深いレベルで理解する力を持っていて、実際に耳で聞き取れなかった部分についても、推測で補うことができているからです。つまり、ディクテーションをするために、何も一言一句聞き取っている必要はないいのです。

 

③聞き取れない音の発見。

 ディクテーションをするということは、聞き取れない音を発見するということでもあります。

 ディクテーションを通して聞き取れなかった音は、必ず分析し、何故その音が聞き取れなかったかを考えてください。

 

・発音を知らなかったから。
・音が消失していたり繋がっていたから。
・構文を正確に理解できていなかったから。

 このように、英語を聞き取れない理由はいくらでもあります。必ず聞き取れなかった音は分析し、徹底的に復習しましょう。そうやって、一つひとつできないことをできるようにしてでしか、英語力を上げていくことはできません。

 

ディクテーションのデメリット

 

 ディクテーションは、学習の質の濃さは、他の学習法と一線を画します。しかし、ディクテーションには、ごく限られた教材でしか勉強ができないデメリットがあります。

 英語には、多種多様な表現が存在し、それらをごく限られた教材を通して身につけるのは至難の業です。また、同じ知識であっても、違う教材を通して学ぶことにより、定着度が増したりもするものです。

 是非、ディクテーションだけに集中しすぎて、学習の幅を狭めないように気をつけてください。


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私のディクテーション活用方法

 

 ディクテーションのデメリットについては今述べた通りです。そのようなデメリットを克服するために、私はディクテーションを、他のリスニング学習の総仕上げとして行っています。

 このとき、あくまでディクテーションは、「完璧に英文を聞き取れているかの最終チェック」という意味合いになります。

 そうすれば、ディクテーションにかける時間は最小限に抑えられますし、もし正確に聞き取れていないところがあれば、それはブランクとなって残るので、すぐに復習することができます。

 

音読筆写

 

 また、ディクテーションはややハードルが高いという方にお勧めしたいのが、「音読筆写」です。

 音読筆写とは、「英文を音読しながらそれを書き写していく」という学習方法です。

 本来は音読との繋がりで出てくるものなのですが、ディクテーションの準備運動としても最適なので、ここで改めて紹介しておきます。

 

音読筆写をディクテーションの準備として行う場合、ネイティブの音声を用いながら、次の手順を踏んでください。

①音声を再生する。

 まずはディクテーションをする音声を流します。スクリプトを見ながらでいいので、正確な音を確認してください。

 

②音読をする。

 ここも、スクリプトを見ながらで構いません。今聞いたネイティブのお手本を参考にしながら、音読をします。

 このとき、決して一回ではなく、何回も音読をして、頭にしっかり英文を焼き付けてください。

 

③書き取る。

 音読を何回もして英文を空で言えるくらいになったら、そこで初めて紙に書き出します。

 ディクテーションではスペルを気にする必要はありませんが、音読筆写では是非スクリプトを確認し、正確なスペルを心がけてみましょう。
 この手順を一通り踏むと、ディクテーションの負荷はかなり減るはずです。まだディクテーションをいきなりやるのは辛いなと思う方は、是非音声を補助にした音読筆写を実践してみてください。

 

慣れてきたら負荷を増やす。

 

 ディクテーションに慣れてきたら、徐々に一度に書き出す量を増やすようにし負荷をかけるように努めましょう。

 ディクテーションは、本当に英語の力がある人であれば、たとえ長文であっても、一度その英文を聞いただけで、全ての英文を正確に書き出す事ができます。これは、小手先の英語力しかない人には絶対にできないことです。

 そういう意味では、英語力というのは、一度に書き取れる英文の長さにダイレクトに反映されると言えます。