
シャドーイングは、もともと同時通訳の人たちが、「聞きながら話す能力」を高めるために用いていたトレーニングです。
しかし最近は、そんなシャドーイングもすっかり英語学習者の間でも流行り初め、今では一般的なリスニング学習法として定着しつつあります。
目次
シャドーイングのやり方
まず、シャドーイングをする音声教材を用意してください。そうしたら、英語の音声を再生して、読み上げられる英文に数秒遅れるような形で、自分で全く同じ内容を口から発していきます。
説明してしまえば本当にこれだけのことで、特に難しいやり方があるわけではありません。しかし、このシャドーイング、文字にして説明されても少しわかりにくいのも事実です。
なので、慣れないうちは、英語ではなく日本語の音声にかぶせてシャドーイングをしてみてください。日本語でシャドーイングする分には何も難しくないので、「ああこんなもんか」と感覚がつかめてくるはずです。
日本語でシャドーイングをして要領を掴んだら、次はスクリプトを見ながらシャドーイングをしてみましょう。最初はこれでも十分つらいはずです。しかし、教材の内容がよっぽど難しくない限り、しっかり練習していれば必ずスクリプト無しのシャドーイングへと移行できるはずですので根気よく頑張ってください。
(音声) I could not find my friend who was to meet me at the station.
(あなた) I could not find my friend who was to meet me…
イメージとしてはこんな感じで、音声に遅れてあなたが英文を読み上げていきます。
最初は何も意味もわからず、見よう見まねで、一生懸命音声についていくだけで精一杯かもしれません。まずはそれで構いません。とにかく音とリズムを正確に再現することに努めて下さい。
しかし、何回も何回も練習を重ねていくうちに、文の塊ごとに意味を理解して、その塊ごとにリピートすることができるようになるはずです。
(音声) I could not find my friend / who was to meet me / at the station.
(あなた) I could not find my friend / who was to meet me /…
一つ目の塊を聞き取って、その塊を再現している間に2つ目の塊が聞こえてきて、その塊を再現している間に3つ目の塊が聞こえてきて…といったイメージです。
シャドーイングの目的
シャドーイングの目的は主に以下の3つです。
①英文を聞いて理解できるようにすること。
まずは英文を理解しないことには始まりません。正確なリスニング力で読まれた英文を一度頭に取り込みます。もし聞きながら理解できないのであれば、音読しても辞書を使ってでもスクリプトを理解しましょう。そこがスタート地点になります。
②英文を頭の中で保持すること。
かなり負荷をかけて(間をあけながら)シャドーイングをしていると、一旦入ってきた英文は、頭の中で文字から「イメージ」へと変換されます。しかし、それを再び発音しなければならないので、ここで再びそのイメージを言語化します。
もし1語か2語遅れてシャドーイングをするようでしたら、文字のまま頭に保持して、それを発音していくことになります。
②自分の口から正確なリズムと発音で発すること。
できる限り正確なリズムと発音で読み上げられた英文を再現していきます。もちろん最初はうまくできないかもしれません。そういう場合は、何度も何度も音声を聞いて繰り返して、自分の口でしっかり発音できるようにしてください。
理想的なシャドーイングとは、これら3つを完璧にこなしたシャドーイングです。
音声をただ無意識に追いかけることではなく、完全に英文を理解しながら、そして尚且つ、それと全く同じ内容を正確な音でアウトプットしていきます。しっかり一つひとつの英文を理解して、塊ごとに口から発することができるようになれば、それはスピーキング力の向上にも直結してきます。
音声を無理矢理合わせたような合わせてないような、妥協のあるシャドーイングでは、根本的なシャドーイングの目的とはズレてしまいます。
英文を深く習得した「証明」
ここまで「学習方法」としてのシャドーイングについてお話してきましたが、実はシャドーイングにはもう一つの側面があります。それは「英文を習得した証明」としてのシャドーイングです。
シャドーイングとは、自分が理解できていない文章、発音の仕方がわからない文章では絶対にできません。(もちろんスクリプトが理解できなければシャドーイングをやる意味もありません)。ですから、シャドーイングが高いレベルでできるということは、その英文を極めて深いレベルで理解したという証明になるのです。
シャドーイングの隠れたメリット
①圧倒的な英語量を処理することができる。
シャドーイングの隠れたメリットは、何と言ってもその圧倒的な情報処理の量です。
シャドーイングでは、ノンストップで英文を耳だけで理解し、再び自分で英文を作り上げ発音していくため、ものすごいスピードで英文を処理していくことが求められます。そしてその結果、他の勉強とは比にならない量の英文を学習することができるのです。
②イヤホンさえあればどこでもできる。
シャドーイングはイヤホンさえ付けてしまえばやる場所を問いません。テキストを広げる必要も、何かを書く必要もありませんから、歩きながらだってできます。
それこそマスクをつければ電車の中でも、こっそりトレーニングできてしまうのがシャドーイングの良い所です。