音読とは最もポピュラーな英語学習でありながら、とても奥が深い勉強法です。
本当はその音読に関する全部を書きたいところなのですが、ここでは「わかりやすさ重視」で音読を4つのパターンに分けてご紹介します。
①オーソドックスな「音読」
②音声を聞きながらする「リピーティング」
③英文から目を離す「Read & Look up」
④書きながらする「音読筆写」
あくまで、全ての基本は「音読」にあります。②③④は、①から派生したものですので、まずはメインの「音読」からしっかりと理解していってみてください。
音読とは
音読のステップは次の2つに分けることができます。
①英文を読んで正しく理解する。
②英文を正しく発音する。
つまり、音読とは言い換えるなら、「正しい英文をインプットしてアウトプットする作業の繰り返し」です。
音読の効果というのは、いかに正しく理解して発音するか、そして、いかにそれをたくさん繰り返すかが勝負です。音読の効果は「正しさ×繰り返し」で決まります。
この2つのステップを、いかに妥協無くできるか、それをしっかりと意識しながら音読をしていきましょう。
音読の目的と効果
音読の目的と効果は以下の3つです。
①音声と文字を一致させる。
②英文の要素と構造を理解する。
③自分の口でそれを再現する。
以下に、それぞれの項目について詳しく説明していきます。
①音声と文字を一致させる。
文字と音声が一致するということは、知っている単語を見たとき、その発音とアクセントがわかるということを指します。
「この単語は見た事があるけれど、読めない」というのは、文字と音声が一致していない証拠です。「文字では認識できるけど、音声ではわからない」という状態を無くしていくことがゴールになります。
②英文の要素と構造を理解する。
音読では、英語を個々の単語ではなく、英文の塊で理解することが大事です。
英語は単語を日本語の語順に並び替えるゲームではありません。
全ての英文は、文法というルールに即しており、塊ごとにしっかりと意味があります。そして、その塊が集まって英文を作っているので、音読もそれを意識しないで英語を読むことはできません。
③自分の口でそれを再現する。
英作文はできるけど、話すことはできない。もしそういう方がいるのであれば、それは口頭で英文を表現できないことに原因があります。
音読では、確かに自分で英文を組み立てる力はつかないかもしれません。しかし、口頭で英文を発するトレーニングをするという意味では、これ以上にない効率的な学習法です。
音読のやり方
①わからない単語を調べる。
まずは音読の下準備です。
スクリプトを隅から隅まで音読してみましょう。うまく読めなくても、わからない単語や、読めないところがあっても構いません。まずは、どこがわからないのかをここではチェックします。
そしたら、わからない単語、発音やアクセントも、全てしっかりと調べてメモしておくようにしてください。
ちなみに、発音についてですが、聞いたまま発音するだけではいけません。しっかり発音記号を読めるようになってください。
詳しくは「発音についての記事」で説明するつもりですが、大人になってしまったら、もう聞いただけで英語を正しく発音できることはありません。私たちは、日本語に無い音を聞き取る能力が無くなってしまった以上、しっかり個々の発音を学んで、発音記号を読めるようにしなければいけないのです。
②しっかり文構造を理解しながら音読する。
音読をするときは必ず文構造をしっかりと理解しながら、意味を噛み締めながら音読してください。
もしただ字面を追うだけの音読でしたら、それはただの単語の発音練習になってしまいます。音読というのはあくまで、「文」を流暢に読んでいく練習であることも忘れないようにしましょう。
ここまでが、音読の基礎の説明になります。
ここからは、その音読から派生する3つのトレーニングについてご紹介しますが、繰り返すように、あくまでここで紹介する勉強法の基礎は音読にあります。そのことを念頭に置いたうえで、ここからの説明を読んでみてください。
リピーティング
ここまで、音読のやり方や効果について説明をしてきましたが、音読にもデメリットはあります。音読は、我流でやり続けてしまうと、めちゃくちゃな発音を定着させることになりかねません。
「英文さえあればどこでもできる」というのが音読のメリットでもありますが、できるならネイティブの音声を真似るべきです。
そして、もしちゃんと音声があるのなら、今から紹介する「リピーティング」を是非実践してみてください。
やり方は至って簡単で、英語の音声を聞いて、止めて、それと全く同じ発音とリズムで英文を読み上げるだけです。よく中学の英語の授業であった「Repeat after me!」ってやつを自分でやる感覚です。
普通にただ音読するよりも、ずっと正確な発音が身に付きます。
Read & Look up
音読の最終目標は、英文を見ないで音読ができてしまうことです。つまり、英語を素早く黙読して、顔を上げて英文を音読ができることが、音読におけるゴールだということです。
このように音読を続けていれば、最終的にはほとんど文章を見なくても、英文が口をついて出てくるようになります。つまり、英文をちらっと見ただけで、ほとんど「読まず」とも音読ができてしまう状態です。
これは、何度も音読を繰り返した結果、構文や文章全体の流れが頭に入って、初めてできるようになります。
このRead & Look upが流暢にできるようになったということは、すなわち英語力の証明でもあります。もうその英文を完璧に理解し、さらに自分で再構成ができるだけの力がついていなければ、決して流暢にRead & Look upはできないからです。
音読筆写
文章を目で読んで、それを音読しながらノートに書き写していく勉強法です。
簡単な話、Read & Look upを文字を書きながらやると思ってください。Read & Look upでは、英文を読んでから、顔を上げて口頭で発音をしましたが、音読筆写ではそれをノートに書き写します。
英文の音声があれば、それを聞きながらやってみてもいいです。発音が正確にわかることに超したことはありませんので、もし可能ならそうしてください。
音読筆写のメリットは、何と言っても、普通に音読するよりも何倍も丁寧に英文を読めることです。そして、一旦読んだ英文を頭に留め、それを手を動かして書き写すため、英文の定着率が桁違いに良いです。
ある程度、英語に自信があるのなら、自分なりに英文を要約しながら、音読筆写をするのもおもしろいかもしれません。
さらに高いレベルのリスニング勉強へ
ここまでしっかり音読でリスニングの下地を作れば、音読よりさらにレベルの高いトレーニングにも十分移行する力がついているはずです。
シャドーイングやリプロダクション、ディクテーションは、正直英語の初心者にいきなり勧められるような勉強法ではありません。それは、それらの勉強法が音読と比べてずっとレベルが高く、とてもそれらの優れた学習法を英語初心者では活かすことができないからです。
しかし、しっかりとここまで説明した音読やそこから派生する勉強法を十分に実践した後であれば、それらの高レベルのリスニングトレーニングに移行する下地は十分についているはずです。
音読は、英語の全くの初心者でも始められるトレーニングです。ですから、そこを踏み台にして、どんどんいろんな勉強法にチャレンジしてみてください。