英語の資格試験との向き合い方(1)

結論から言うと、資格試験のための英語の勉強はするべきではありません。

※ここで言う「資格試験のための勉強」とは、資格試験の過去問やテクニックに過度に依存した勉強法を指します。

 

資格試験とは、本物の英語力が伸びた結果として取得すべきものです。たしかに、資格試験のためだけの勉強をしたとしても、資格は取れるかもしれません。しかし、そのようなやり方では、本当の意味での英語上達としては、結果として遠回りになります。

その理由については、後で詳しく説明します。

 

本当の意味で英語力がある人は、ほとんど試験対策をしなくとも高度な資格試験にも合格します。しかし、高度な資格を持っている人が、必ずしも高い英語の能力を持っているとは限りません。

TOEICでいい点数は持っていても全然英語が話せない人というのは、その典型と言えるでしょう。

 

TOEICと英検に見る具体例

 

英語の基礎力が弱ければ、資格試験の勉強から学べることはほぼありません。

例えば、英語の文法の全体像が理解できていない人は、TOEICの文法セクションの解説を理解することはできません。同様に、英語をまともに読めない人が英検の長文問題の解説を読んでも、全く英語の勉強になりません。

 

以下に、それらの具体的な例を見ていきます。

これらは、私の手元にあるTOEICと英検の公式問題集から、適当なところを抜粋したものです。特に恣意的には選んだわけではなく、たまたま目に付いたところを載せます。

 

【TOEICの解説の例】

・助動詞willの後には動詞の原形が来るので、(B)が正解。
・both A and Bで「AもBも両方」という意味を表す。
・ending以下は分詞構文。名刺careerを修飾する所有格herが適切。

 

こちらは、TOEIC公式問題集のPart5の解説からの引用です。

ご覧の通り、TOEICの文法の解説は一般的に非常にシンプルで断片的です。そのため、英文法の基礎がわかっていない人がこれを理解することは非常に困難です。皮肉ではありますが、この解説を見てすっと意味が理解できる人は、大抵の場合、解説を読むまでもなく問題が解けるものです。

また、たとえ解説を理解することができたとしても、これらは断片的な情報にすぎません。英文法を理解するとき、細切れの知識を適当に詰め込んでも、まともに文法を習得することはできません。

英語の理解というのは、常に「全体像」を意識しながら「体系的」になされるべきなのです。

 

【英検の解説の例】

空所文では「加熱調理の進歩」がどうなのかを考える。空所文以降で、調理が「人間が・・・関係を築く重要な機会」や「文化の発展の舞台」だったと考えられていると述べているため、3の「人間関係を形成した」と考えるのが正当。

 

こちらは、英検1級の過去問の解説からの引用です。

英検の長文の解説は、改ためて英語の解説をしてくれるほど親切ではありません。英語は理解できていることが前提で、その上でどこに注意して読むべきかという解説のみが並びます。私たちが高校時代に勉強した「現代文」の解説をイメージすればわかりやすいかもしれません。

 

英検に出てくるような英文が読めるようになりたかったら、英検の過去問を解くだけでは不十分です。この類の問題に正解できる人は、あらかじめ相応の学力を持っている人ですし、これらを正解できない人は、解説を読んでも何かを学ぶことはないからです。

英検の長文問題を解いて間違えて解説を読んだとしても、「自分が読めなかったということを知る」だけです。ですから、英検の長文が読めるようになりたければ、試験問題を解いて間違えた箇所を理解する力をつけるようなトレーニングを、別途しなければならないのです。